【投手】(ヤクルト)原樹-松岡-石山-山本
(阪神)能見-桑原-マテオ-ドリス
【勝ち投手】能見(3勝3敗0S)
【負け投手】原樹(2勝5敗0S)
【セーブ】ドリス(0勝3敗21S)
【本塁打】大山1号(阪神)
山田11号(ヤクルト)
◇大山、連敗大脱出の1号V3ラン!プロ初ヒットで虎救った
(セ・リーグ、阪神3-1ヤクルト、11回戦、阪神6勝5敗、1日、甲子園)
大山が止めた!! 阪神のドラフト1位・大山悠輔内野手(22)=白鴎大=が「5番・一塁」の大抜てきに応え、三回、決勝3ランを放った。プロ初安打が本塁打となり、連敗は8でストップ。金本知憲監督(49)が昨秋のドラフトで指名を決めた秘蔵っ子の千金弾でヤクルトを沈め、トンネルを脱出した。さあ7月攻勢や!!
甲高く鋭い産声が、聖地を貫く。曇り空を割って、伸びて伸び切って、サクの向こうで跳ねた。大山のプロ初安打が、決勝3ランになった。連敗を「8」でストップ。大脱出へと導く大仕事で、大物ルーキーは地鳴りの中、ダイヤモンドを大きく一周した。
「幸せです! 今までの人生で一番幸せな時間でした。チームが負けている状況だったので。なんとかチームに貢献したいという気持ちが強かった」
福留が三振に倒れた直後の0-0の三回二死二、三塁。プロ9打席目の22歳が重いムードと白球をまとめてフッ飛ばした。1ボールからの2球目、145キロ真っすぐを一閃。4万4420人の声と、浜風にも乗り、左翼席最前列に着弾した。
虎の新人がプロ初安打を本塁打で飾るのは、1987年に八木裕(サンケイスポーツ専属評論家)が江川卓(巨人)から放って以来30年ぶり。背番号「3」が三回に刻んだ3点のまま、3-1で逃げ切った。10年ぶりとなる9連敗の危機を救った。
その瞬間、金本監督も叫び、思わずダッグアウトのラバーを力いっぱい殴っていた。チームの本塁打自体、8連敗が始まる前日の6月16日に楽天戦(甲子園)で原口が放った一発以来9戦ぶり。プロ2度目のスタメンでの5番起用がズバリ当たった。「昨日のレフトライナーかな、捕られたけれど。真っすぐに負けない。昨日の当たりで決めました」と明かした。ドラフト会議での単独1位指名からつながる大胆起用に満点回答が返ってきた。「初仕事が大仕事になった。そういう印象です」と目尻を下げた。
ドラフトでは1位指名に驚き、喜んだが、すぐになぜ即戦力投手を回避したのか…という“雑音”も聞こえた。白鴎大・黒宮寿幸監督も「想像以上の反響と『なんで大山?』という声も我々の耳に入ってきました」と振り返り「やるべきことは評価してくれた球団への恩返しだけ。金本監督に拾ってもらった選手ですから、命を懸けてやらないと」と語気を強めた。平穏な虎入りではなかった。
1軍帯同した2月の沖縄・宜野座キャンプの初安打も“難産”だった。実戦デビューから16打席連続無安打が続き「野球の神様っているんですかね…」と思わず弱音も。周囲の若虎たちから「まだ1年目やろ? 始まってもいないやんか!」とたしなめられたが、あの春から約4カ月。筋肉だけで体重5キロ増とビルドアップし、たくましさを増した体で放物線をかっ飛ばした。恩返しが、ついに始まった。
大山は「僕が上がってから1勝もしてなかったので、『僕が悪いものを持ってきたなあ』と思っていたので、それを止められてよかったと思います」と初めてのお立ち台でほほ笑んだ。絶対に虎を勝たせ続ける。使命に燃え、強烈な一発とともにプロの一歩を踏み出した。 (サンケイスポーツ)