
【投手】(阪神)岩崎-福原-呉昇桓
(中日)岡田-又吉-祖父江
【勝ち投手】岩崎(2勝1敗0S)
【負け投手】岡田(1勝3敗0S)
【セーブ】呉昇桓(1勝0敗6S)
◇鋼鉄のハートや!虎D6・岩崎、今度は敵地で0封竜斬り
えらいやっちゃ!! 阪神のドラフト6位・岩崎優(いわざき・すぐる)投手(22)=国士舘大=が中日打線を翻弄。7回ゼロ封でプロ2勝目をあげた。中日戦12イニング連続無失点の左腕は防御率を1・44とし、リーグ2位に浮上。掘り出し物のルーキーの快投で今季初の敵地勝ち越し。貯金を今季最多タイの「6」とした。
修羅場をくぐり抜けるとグラブをポーンとたたいた。敵地でも竜打線をもてあそんだ。どん尻ルーキーがまた大仕事。D6位・岩崎が7回5安打無失点の快投で今季2勝目。虎の鬼門と呼ばれたナゴヤドームのマウンドに立ち、無表情で「0」を刻んでいった。
「いつも通り、1イニング、1イニングという気持ちで投げました」
最大のピンチは1-0の六回だった。先頭の荒木に右前打を浴び、続くルナに四球。無死一、二塁とされ、4番・平田を迎えた。初球から臆することなく内角を攻めた。2球続けた内角直球で2ストライクと追い込み、インサイドへの137キロ直球で見逃し三振。鶴岡は腰を上げ、1球外した球のようだったが、懸命に腕を振った分、バットが動かなかった。好調の相手4番を3球三振に仕留めると、続く森野の一ゴロをゴメスが好捕し、二塁封殺。一、三塁から和田を右飛に打ち取り、無失点で切り抜けた。
「いい打者ほど厳しく突いていかないといけない」
真っすぐとスライダーの組み立てで開幕から投げてきたが、四回一死、森野の打席で99キロのスローカーブを披露した。
「カウントをとることができました。良い結果ができたと思います」
初勝利を得た2日の京セラドームから中日戦2戦2勝。12回連続無失点を継続中だ。
三塁側スタンドでは実家のある静岡市内からやってきた母・恭子さん(50)が応援ボードを手に声をからしていた。2日の初勝利の後、岩崎はウイニングボールを丁寧にタオルで包み、トラッキーのぬいぐるみ、大きく扱われたスポーツ新聞とともに段ボールに入れて、宅配便で送った。記念球はリビングに飾られたのだが、後日談があった。
母から「あと10個はほしい」と連絡があったのだ。母にプレゼントすると、父も欲しいと言い出した。兄弟だけじゃなく、祖父祖母も。母が設定したノルマは高いが、開幕から4試合を投げ、2勝1敗、防御率は1・44。リーグ1位の菅野(巨人)の1・40に肉薄だ。決して不可能な数字ではない。
チームは初の敵地勝ち越しを決めた。5試合を残し、4月勝ち越しのおまけつき。和田監督は「きょうは岩崎やね。低めだけじゃなく両サイドもしっかりとコントロールできていたし、キレもあって、緩急も使えていた」と脱帽した。
岩崎は「これからも1つでも多く勝てるようにがんばります。応援よろしくお願いします」と謙虚に語った。
チームのため、両親のため。掘り出し物ルーキーが静かに闘志を燃やした。(サンケイスポーツ)







